【詳細解説】Amazon ECS × Amazon Linux 2023 最新ECS最適化AMI運用ガイド
1. ECS最適化AMIの種類と特徴をより詳しく
AMIとは?
Amazon Machine Image(AMI)は、EC2インスタンスを起動するための「テンプレート」となるイメージです。
OSやインストール済みソフトウェア、設定などが含まれます。
ECS最適化AMIとは?
ECS最適化AMIは、AWSがECSでの利用に最適化したAmazon LinuxのAMIです。
主な特徴は以下です。
- Docker & ECS Agentが標準インストール済み
→ コンテナ管理に必要なソフトが最初からセットされている。 - AWSの推奨設定で安定稼働保証
→ ストレージやネットワーク設定が最適化済み。 - セキュリティパッチやバグ修正が定期的に反映される
バリエーションの詳細
バリエーション名 | 使うインスタンス例 | 詳細説明 |
---|---|---|
Amazon Linux 2023 (x86_64) | t3.medium, m5.large など | 一般的な64bit Intel/AMD CPU搭載インスタンス用。標準的な環境。 |
Amazon Linux 2023 (arm64) | Graviton2, Graviton3などARMベース | ARMアーキテクチャ対応。省電力・高コスパインスタンス用。 |
Amazon Linux 2023 (Neuron) | Inf1やTrainiumなどAWSの機械学習アクセラレータ搭載機 | Neuronドライバーとランタイムがプリインストール済み。ML推論向け。 |
Amazon Linux 2023 GPU | p4, g4などGPUインスタンス | NVIDIAドライバとCUDAランタイムなどがセット済み。GPU活用に最適化。 |
なぜ選ぶ必要がある?
使うインスタンスのCPUアーキテクチャや用途に合ったAMIを使わないと、ドライバが動かなかったりパフォーマンスが出なかったりします。
2. なぜ最新AMIを使い続けるべきか?背景とリスク
セキュリティ面のリスク
- 古いAMIには最新のセキュリティパッチが適用されていないことがある。
- コンテナホストが攻撃を受けるリスクが高まる。
パフォーマンス面のメリット
- AWSがDockerのバージョンアップやカーネル改善をAMIに反映。
- 最新AMIほどコンテナ実行が高速安定する可能性が高い。
管理の手間
- 手動でAMIを定期チェック・更新するのは大変。
- アップデート漏れや人為的ミスも増える。
3. 最新AMIの取得方法(SSMパラメータストア)
SSMパラメータストアとは?
AWS Systems Managerのパラメータストアは、名前付きで設定情報などを安全に保存できるサービス。
なぜここに最新AMI IDがある?
AWSは最新のECS最適化AMIのAMI IDをパラメータストアに登録しています。
パラメータの名前は例えば以下の通り:
/aws/service/ecs/optimized-ami/amazon-linux-2023/recommended/image_id
取得の仕組み
- AWS CLIコマンドでパラメータを問い合わせるだけで最新AMIが取得できる。
- 毎回最新を取得すればハードコーディング不要。
4. 起動テンプレートの基本とバージョン管理
起動テンプレートとは?
EC2インスタンス起動時の設定(AMI、インスタンスタイプ、セキュリティグループ、IAMロール、ユーザーデータなど)をまとめたテンプレート。
なぜ便利?
- 同じ設定を使い回せる
- バージョン管理が可能
- Auto Scalingグループと連携できる
バージョン管理の活用法
- 最新AMIを使うたびに新しいバージョンを作る
- 古いバージョンも残るため、ロールバックや履歴確認が可能
5. 起動テンプレートに最新AMIを組み込む具体的手順
1) 最新AMIをSSMから取得
AMI_ID=$(aws ssm get-parameters \
--names /aws/service/ecs/optimized-ami/amazon-linux-2023/recommended/image_id \
--region ap-northeast-1 \
--query "Parameters[0].Value" --output text)
2) 起動テンプレートの最新バージョン番号を取得
CURRENT_VER=$(aws ec2 describe-launch-templates --launch-template-names my-template \
--query 'LaunchTemplates[0].LatestVersionNumber' --output text)
3) 新バージョン作成
aws ec2 create-launch-template-version \
--launch-template-name my-template \
--source-version $CURRENT_VER \
--launch-template-data "{\"ImageId\":\"$AMI_ID\"}"
これでAMIだけを差し替えた新しいバージョンができます。
6. Auto Scalingグループとの連携
なぜ連携が必要?
- ASGはスケールアウト時に起動テンプレートのバージョンを参照してインスタンスを起動
- 旧バージョンのままだと古いAMIで起動してしまう
変更コマンド例
aws autoscaling update-auto-scaling-group \
--auto-scaling-group-name my-asg \
--launch-template "LaunchTemplateName=my-template,Version=$NEW_VERSION"
7. 運用自動化のポイント
定期的にスクリプト実行
- cronやCI/CDツールで定期実行して常に最新化を維持
- 人手を介さずミス削減、コストも削減
スクリプト例(ポイント再掲)
LATEST_AMI=(最新AMI取得)
CURRENT_VER=(起動テンプレート最新バージョン)
NEW_VER=(新バージョン作成)
ASGアップデート(起動テンプレートの新バージョン指定)
8. ユーザーデータでのセットアップとの違いを掘り下げ
ユーザーデータとは?
- EC2インスタンス起動時に渡せるスクリプト
- インスタンス起動後に追加設定やソフトウェアインストールを実行可能
ECS最適化AMIを使う場合との比較
項目 | ECS最適化AMIを使う場合 | ユーザーデータでのセットアップ |
---|---|---|
初期セットアップ時間 | 短い(最初からセット済み) | 長い(起動後スクリプト実行が必要) |
トラブルの発生可能性 | 低い(公式管理・テスト済みAMI) | 高い(スクリプトミスや依存関係トラブルの可能性) |
セキュリティ保守 | AMI更新で対応 | スクリプトも頻繁に更新・テストが必要 |
一貫性の担保 | あり(全インスタンスで同じAMI) | スクリプトの実行タイミングによって差が出る場合あり |
最後に:おすすめの運用フロー
- SSMパラメータストアから最新AMIを取得
- 起動テンプレートの新バージョンを作成しAMIを差し替え
- Auto Scalingグループに新バージョンを適用
- 定期的にスクリプト実行で自動化
まとめ
- ECS最適化AMIはECS運用の信頼できる基盤
- 常に最新のAMIを利用しセキュリティと性能を維持することが重要
- SSMパラメータストア活用でAMI ID管理を自動化
- 起動テンプレートのバージョン管理機能を活用し効率的な更新運用を実現
- ユーザーデータでのセットアップはあくまで例外的なカスタム時に検討
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