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【比較ガイド】Secrets Manager vs. Parameter Store:SaaS開発者・投資家向けの最適な使い分け戦略


【比較ガイド】Secrets Manager vs. Parameter Store:SaaS開発者・投資家向けの最適な使い分け戦略

はじめに

AWS上で機密情報を安全かつ効率的に管理するには、主に以下の2つのサービスが利用されます:

  • AWS Secrets Manager
  • AWS Systems Manager Parameter Store(以下、SSM Parameter Store)

それぞれ特徴や適材適所が異なります。本記事では、SaaS構築・自動化・コスト効率を重視する開発者・投資家視点で、違い・選定基準・具体的なユースケースを戦略的に解説します。


1. 機能比較:Secrets Manager vs Parameter Store

項目Secrets ManagerSSM Parameter Store(SecureString)
主な用途高機密情報(APIキー、DBパスなど)設定値、低頻度のシークレット管理
暗号化✅ KMS暗号化(デフォルト)✅ KMS暗号化(SecureString指定時)
自動ローテーション✅ あり(Lambda連携可)❌ なし(手動のみ)
バージョニング✅ あり(履歴あり)✅ あり(履歴あり)
アクセス制御IAMベース(柔軟)IAMベース(同様)
料金有料($0.40/月/secret~)無料枠あり(SecureString 10,000件まで無料)
最大サイズ約64KB約4KB(SecureString)
SDK対応✅ 各言語で対応(GetSecretValue)✅ GetParameter/GetParameters
CLI対応aws secretsmanageraws ssm
シークレット設計向け✅ SaaS認証/APIキー/DB認証⚠️ 軽量設定・構成パラメータ向け

2. 使い分け戦略(結論)

✅ Secrets Manager を使うべき場合

  • OpenAIやDMMなど外部APIキーを安全に保持・使用
  • DBパスワード・認証情報をローテーション込みで運用
  • SaaS環境ごとに機密データを切り分け(/prod/, /dev/

✅ Parameter Store を使うべき場合

  • フロントURL、環境フラグ、APIのベースURLなど機密度の低い設定
  • コストを極限まで抑えたい開発初期・テスト段階
  • 1ヶ月10,000件無料枠を活用し設定情報を集中管理したい

3. SaaSテンプレートでの併用設計パターン

実運用においては、「Secrets Manager」と「Parameter Store」は併用が推奨されます。以下に設計テンプレート例を示します:

🔧 Secrets Manager 管理項目

キー用途例
OPENAI_API_KEYOpenAI APIのキー(高機密)
DMM_AFFILIATE_IDDMMアフィリエイトID
DB_PASSWORDAuroraなどのDBパスワード

🔧 Parameter Store 管理項目(SecureString/PlainText)

キー用途例
/myapp/dev/BASE_URLAPIエンドポイントのベースURL
/myapp/dev/FEATURE_TOGGLE_CHATGPTフラグ(true/false)
/myapp/dev/FRONTEND_ORIGINCORS許可ドメインなど

💡 SecureString にすればある程度機密性も確保可能ですが、ローテーションやサイズに制限あり。


4. コスト比較(2025年版)

サービス無料枠有料料金
Secrets Manager×(無料枠なし)$0.40/月/secret + API呼び出し課金あり
Parameter Store✅(10,000件まで)$0.05/1,000リクエスト 超過時のみ

🔎 コスト最適化Tips

  • APIキー類はSecrets Managerで集中管理(重要1〜5件に限定)
  • 構成値やトグルスイッチはParameter Storeで定義
  • 運用コストの見積もりを事前に可視化しておく(予算意識)

5. SAMテンプレートでの実装統合例

Parameter Store を Lambda に環境変数として渡す例

Environment:
  Variables:
    BASE_URL: !Sub '{{resolve:ssm:/myapp/dev/BASE_URL}}'

Secrets Manager のARNを渡す例

Environment:
  Variables:
    SECRET_ARN: arn:aws:secretsmanager:ap-northeast-1:xxx:secret:myapp/dev/external-api-xyz

Lambda起動時にSDK経由で呼び出し → Secrets取得&キャッシュ処理を実装。


まとめ:選定のための意思決定マトリクス

判断軸推奨サービス
セキュリティ重視✅ Secrets Manager
コスト最適化重視✅ Parameter Store
ローテーションが必要✅ Secrets Manager
軽量設定・環境変数代替✅ Parameter Store
自動化・CI/CD組込両方対応可能(使い分け設計)

結論:併用こそがベストプラクティス

Secrets ManagerとParameter Storeは、単純な上位互換ではなく役割分担が明確なサービスです。
**「高機密データをSecrets、構成情報をParameter Storeへ」**という設計パターンは、コスト・セキュリティ・再現性・スケーラビリティの観点で最も合理的です。


付録:参考資料


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