GPT API パラメータ マスターガイド
はじめに
AIモデルの出力をコントロールする鍵となるのが、APIパラメータの適切な設定です。本記事では、GPT APIの各パラメータを詳細に解説し、エンジニアの皆さんが最適な設定を見つけるためのガイドラインを提供します。
APIパラメータの基本概念
APIパラメータとは、大規模言語モデル(LLM)の動作を制御するための設定値です。適切な調整により、以下のような効果が得られます:
- 出力の多様性の制御
- 生成される文章の長さ管理
- 創造性のチューニング
- 特定のユースケースに最適化
1. temperature:創造性の調整パラメータ
パラメータの仕組み
- 値の範囲:0.0 〜 1.0
- 低い値(0.0 〜 0.2):決定論的で安定した出力
- 高い値(0.8 〜 1.0):より創造的でランダムな出力
実装例
openai.ChatCompletion.create(
model="gpt-3.5-turbo",
temperature=0.7, # 中程度の創造性
messages=[...]
)
推奨設定
- コーディング:0.2 〜 0.3
- クリエイティブライティング:0.7 〜 0.9
- 技術文書:0.1 〜 0.3
2. max_tokens:出力長さの制御
トークンの基本
- 1トークン ≈ 4文字
- 英語は単語、日本語は文字や形態素
実践的な設定方法
openai.ChatCompletion.create(
model="gpt-3.5-turbo",
max_tokens=500, # 出力を500トークンに制限
messages=[...]
)
注意点
- 入力トークンと合わせて4096トークン制限
- 長すぎる出力は途中で切れる可能性
3. top_p(Nucleus Sampling):確率的サンプリング
top_pの動作原理
- 累積確率に基づいてトークンを選択
- temperatureの代替または併用可能
- 値の範囲:0.0 〜 1.0
実装例
openai.ChatCompletion.create(
model="gpt-3.5-turbo",
top_p=0.9, # 上位90%の確率分布から選択
messages=[...]
)
4. presence_penalty & frequency_penalty:重複の抑制
presence_penalty
- 新しいトピックの導入を促進
- 値の範囲:-2.0 〜 2.0
- 正の値で重複を抑制
frequency_penalty
- 同じ表現の繰り返しを抑制
- 値の範囲:-2.0 〜 2.0
- 正の値で頻出単語の使用を減らす
実装例
openai.ChatCompletion.create(
model="gpt-3.5-turbo",
presence_penalty=0.5,
frequency_penalty=0.3,
messages=[...]
)
5. stop sequences:生成の終了条件
使用方法
- 特定の文字列で出力を停止
- 構造化された出力に有効
openai.ChatCompletion.create(
model="gpt-3.5-turbo",
stop=["\n\n", "###"], # 指定した文字列で停止
messages=[...]
)
パラメータ調整の実践的アプローチ
推奨される調整方法
- 用途に応じた初期設定
- 小規模な実験
- 出力の評価
- パラメータの微調整
ユースケース別の推奨設定
ユースケース | temperature | max_tokens | top_p | presence_penalty | frequency_penalty |
---|---|---|---|---|---|
コード生成 | 0.2 | 1000 | 0.9 | 0.3 | 0.2 |
クリエイティブライティング | 0.8 | 2000 | 0.9 | 0.5 | 0.3 |
技術文書 | 0.1 | 800 | 0.8 | 0.2 | 0.1 |
まとめ
GPT APIのパラメータ調整は、アートと科学の両面を持つ繊細な作業です。継続的な実験と観察が、最適な設定への鍵となります。
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