Amazon Q Developer CLI を Windows 上で使いたいけど、どうやってインストールするの? 本記事では、WSL(Windows Subsystem for Linux) を活用して Amazon Q CLI を導入する手順を、図解・用語解説付きで丁寧に紹介します。
🔧 前提条件と目的
🎯 目的
Windows環境において Amazon Q Developer CLI を使えるようにすること。
👥 対象読者
- Windows環境で開発しているエンジニア
- Amazon Q を試したいが、Linux環境がない方
- CLIツールのインストールに不安がある初心者
- AI支援開発ツールを導入したい開発者
✅ 前提条件
- 管理者権限のある Windows 10(バージョン2004以降)または Windows 11
- インターネット接続環境
- 基本的なコマンドライン操作の理解
🧠 用語解説
用語 | 解説 |
---|---|
Amazon Q Developer CLI | Amazonが提供する生成AI支援の開発ツール。自然言語からコード生成や分析が可能で、開発効率を劇的に向上させる |
WSL (Windows Subsystem for Linux) | Windows上でLinuxディストリビューション(Ubuntuなど)を動かすための仕組み。仮想マシンより高速・軽量で、Windowsとのファイル共有も簡単 |
Builder ID | AWSが提供する個人向けの無料アカウントで、Amazon Qなどの開発ツールを使うのに必要。企業向けのAWS IAMとは別の個人用ID |
Ubuntu | WSL上で動作するLinuxディストリビューション。初心者にも扱いやすく、パッケージが豊富 |
🚀 ステップバイステップ:インストール手順
ステップ1️⃣ WSLのインストールと設定
まずは、Linux環境(Ubuntu)をWindows上に構築します。
WSLが既にインストールされているか確認
既存のWSL環境を確認しましょう:
wsl --list --verbose
WSLがインストール済みでLinuxディストリビューションが表示される場合は、次のステップにスキップできます。
新規WSLインストール手順
管理者権限でコマンドプロンプトまたはPowerShellを開く
スタートメニューで「cmd」または「PowerShell」と検索
右クリックして「管理者として実行」を選択
WSLインストールコマンドを実行
wsl --install
システムの再起動
shutdown /r /t 0
WSLバージョンの確認 再起動後、正常にインストールされたか確認:
wsl --version
補足: WSL2が推奨されます。WSL1の場合は以下で更新できます:
wsl --set-default-version 2
ステップ2️⃣ Ubuntu(WSL)の起動と環境準備
Ubuntuインスタンスの初期設定
Ubuntuを起動
wsl -d Ubuntu
初回実行時は、Ubuntuが自動的にダウンロード・インストールされます(数分かかる場合があります)。
ユーザーアカウントの作成 Ubuntu初回起動時に以下の設定を行います:
ユーザー名: 英数字のみ使用(例:john_smith
)
パスワード: Ubuntu用パスワードを設定(入力時は画面に表示されません)
パスワード確認: 同じパスワードを再入力
ホームディレクトリへの移動
デフォルトではWindowsのディレクトリにマップされているため、Linuxのホームディレクトリに移動します:
cd ~
現在のディレクトリを確認:
pwd
/home/your-username
と表示されることを確認してください。
システムの更新
最新の状態に更新しておきます:
sudo apt update && sudo apt upgrade -y
ステップ3️⃣ 必須パッケージのインストール
Amazon Q CLIのインストールに必要なパッケージを導入します:
sudo apt install unzip curl -y
各パッケージの役割:
- unzip: ZIP形式のファイルを解凍するため
- curl: インターネットからファイルをダウンロードするため
パスワードを求められたら、Ubuntu設定時に作成したパスワードを入力してください。
ステップ4️⃣ Amazon Q Developer CLIのダウンロードと解凍
インストーラーのダウンロード
公式のインストーラーをダウンロードします:
curl --proto '=https' --tlsv1.2 -sSf https://desktop-release.codewhisperer.us-east-1.amazonaws.com/latest/q-x86_64-linux-musl.zip -o q.zip
コマンドオプションの説明:
--proto '=https'
: HTTPS通信のみを許可--tlsv1.2
: TLS 1.2以上を使用-sSf
: サイレント実行・進行状況非表示・エラー時終了-o q.zip
: ファイル名をq.zip
として保存
ダウンロード確認
ファイルが正常にダウンロードされたか確認:
ls -la q.zip
ファイルサイズが表示されれば、ダウンロード成功です。
ZIPファイルの解凍
unzip q.zip
解凍後、q/
ディレクトリが作成されます:
ls -la
ステップ5️⃣ インストールスクリプトの実行
インストールディレクトリへの移動
cd q
ディレクトリ内容を確認:
ls -la
install.sh
ファイルが存在することを確認してください。
実行権限の付与
インストールスクリプトに実行権限を付与:
chmod +x install.sh
権限が変更されたか確認:
ls -la install.sh
-rwxr-xr-x
のように x
が付いていれば実行権限が付与されています。
インストーラーの実行
./install.sh
インストール中に以下の質問が表示されます:
Would you like to update your shell profile to add Amazon Q CLI to your PATH? (y/N)
必ず y
または yes
を入力してください。これにより、q
コマンドがシステムのPATHに追加されます。
新しいシェル設定の適用
インストール完了後、新しい設定を反映させるため、以下のいずれかを実行:
方法1: 新しいシェルを開始
bash
方法2: WSLセッションの再起動
exit
その後、再度 wsl -d Ubuntu
でWSLに入ります。
ステップ6️⃣ 動作確認とログイン設定
インストール確認
Amazon Q CLIが正常にインストールされたか確認:
q --version
バージョン情報が表示されれば、インストール成功です。
利用可能コマンドの確認
q --help
使用可能なコマンド一覧が表示されます。
Builder IDでのログイン
Amazon Q CLIを使用するには認証が必要です:
q login
ログイン方法の選択画面が表示されます:
? How would you like to log in to Amazon Q?
❯ Use for free with Builder ID
Use with AWS IAM Identity Center
上下矢印キーで「Use for free with Builder ID」を選択し、Enterキーを押します。
Web認証の完了
- 認証URLの表示 以下のようなメッセージが表示されます:
Your browser will open to: https://device.sso.us-east-1.amazonaws.com/
- ブラウザでの認証
- URLが自動的にブラウザで開かない場合は、手動でコピー&ペースト
- Builder IDでログイン、または新規作成
- 認証コードが表示されるので、CLIに入力
- ログイン完了の確認
q auth status
以下のような表示がされればログイン成功:You are logged in to Amazon Q with Builder ID.
🧪 動作テストと基本的な使い方
基本コマンドのテスト
# ヘルプの表示
q help
# チャット機能のテスト
q chat
# ファイル分析(例:Pythonファイルがある場合)
q scan ./your-file.py
WindowsとWSLのファイル共有
WSL環境からWindowsのファイルにアクセス:
# WindowsのCドライブ
cd /mnt/c/
# ユーザーディレクトリ
cd /mnt/c/Users/your-windows-username/
# デスクトップ
cd /mnt/c/Users/your-windows-username/Desktop/
📝 よくある質問とトラブル対処
❓ 「command not found」と表示される
原因: PATHにq
コマンドが追加されていない
解決方法:
- 新しいシェルを開始:
bash
- それでも解決しない場合、手動でPATHを確認:
echo $PATH | grep -q q && echo "PATH設定OK" || echo "PATH設定に問題"
- 手動でPATHを追加:
echo 'export PATH="$HOME/.local/bin:$PATH"' >> ~/.bashrc source ~/.bashrc
❓ curlやunzipがない
解決方法:
sudo apt update
sudo apt install curl unzip -y
❓ WSLの起動が遅い
原因: WSL1を使用している可能性
解決方法:
- WSLのバージョン確認:
wsl --list --verbose
- WSL2に変更:
wsl --set-version Ubuntu 2
❓ Windows側のファイルとやり取りしたい
解決方法:
- WSLからWindowsファイルにアクセス:
/mnt/c/Users/...
- WindowsからWSLファイルにアクセス:
\\wsl$\Ubuntu\home\username\
❓ ログインに失敗する
よくある原因と対処法:
- ブラウザでJavaScriptが無効 → ブラウザ設定でJavaScriptを有効化
- 認証コードのタイムアウト →
q login
を再実行 - プロキシ環境 → プロキシ設定を確認し、必要に応じて設定
❓ 権限エラーが発生する
# ファイル権限の確認
ls -la install.sh
# 権限の修正
sudo chmod +x install.sh
🏁 まとめ:WSL活用でAmazon Qをフル活用!
Amazon Q Developer CLIは、Linux前提のツールですが、WSLを活用すればWindows環境でもほぼシームレスに使えます。
ステップ | 概要 | 所要時間 |
---|---|---|
① WSLの有効化 | wsl --install でUbuntu環境構築 | 5-10分 |
② Ubuntuの準備 | unzipなどの依存パッケージを導入 | 2-3分 |
③ CLIダウンロード | curlでzipを取得・解凍 | 1-2分 |
④ CLIインストール | install.shで簡単導入 | 1分 |
⑤ Builder IDログイン | 無料で使えるAWSの新ID | 2-3分 |
合計所要時間: 約15-20分
📌 補足:WindowsとLinuxの両世界の良さを生かす
Windowsの利点
- 開発ツール、IDE(Visual Studio、VS Codeなど)が豊富
- GUIアプリケーションの充実
- Microsoft Officeとの連携
Linux(WSL)の利点
- CLIツールやパッケージが豊富で柔軟性が高い
- 開発環境の構築が簡単
- オープンソースツールとの親和性
→ これを組み合わせれば、強力なローカル開発環境が完成!
🧩 次のステップとおすすめ記事
Amazon Q Developer CLIの活用方法
- コード生成: 自然言語でコードを生成
- コードレビュー: 既存コードの分析と改善提案
- デバッグ支援: エラーの原因特定と修正方法の提案
- ドキュメント生成: コードから自動的にドキュメント作成
関連記事(参考)
- WSL2で開発環境を構築する完全ガイド
- Amazon Q × Visual Studio Code 連携方法
- AIコードアシストを活用して開発を高速化する方法
- Builder IDで使えるAWSサービス一覧
🔧 高度な設定とカスタマイズ
WSL環境のカスタマイズ
zshの導入(オプション):
sudo apt install zsh
chsh -s $(which zsh)
Oh My Zshの導入:
sh -c "$(curl -fsSL https://raw.github.com/ohmyzsh/ohmyzsh/master/tools/install.sh)"
Amazon Q CLIの設定ファイル
設定ファイルの場所:
ls -la ~/.aws/q/
Windows Terminal との連携
Windows Terminalを使用すると、より快適にWSLを使用できます:
- Microsoft Store から「Windows Terminal」をインストール
- 設定でUbuntuをデフォルトプロファイルに設定
- タブ機能やカスタムテーマを活用
この記事があなたのAmazon Q Developer CLI導入の助けになれば幸いです!
WSLを活用することで、WindowsユーザーでもLinuxベースの開発ツールを快適に使用できるようになります。AI支援開発の新しい世界を存分にお楽しみください!
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